会議の録音を文字にして、議事録づくりを楽にしたい。そう考えて、AIボイスレコーダーを調べ始めた方もいるのではないでしょうか。
便利そうな一方で、気になるのが安全性です。録音した会議の内容はどこに送られるのか。AIの学習に使われてしまわないのか。
調べてみると、製品によって扱いがはっきり違いました。とくに差が出るのは「AI学習に使われるかどうか」です。正直に言うと、私もこの違いは調べるまで知りませんでした。
この記事では、医療現場で働く私の視点から、主要な3機種を安全性の面で比較します。
- 実機は試していません
- 各社の公式情報を突き合わせて比較しました(2026年9月確認)
- 医療現場で働く立場から、使う場面の注意点をまとめています
- 価格や条件は変わることがあります

録音を文字にしてくれる機械、便利そうですよね。でも会議の中身がどこかに送られると思うと、少し心配で…。

その視点はとても大事です。実は製品によって、AI学習の扱いが違うんですよ。順番に見ていきましょう。
AIボイスレコーダーの仕組みと安全性

以前、私はICレコーダーで会議を録音していました。困ったのは、聞き直すのに時間がかかること。遠くの席の人が小さな声で話すと拾えていないこと。そして、肝心なときの電池切れです。
AIボイスレコーダーは、このうち「聞き直す手間」を、自動の文字起こしと要約で減らしてくれる道具です。ただ、便利さの裏側で、録音がどう扱われるのかは製品ごとに違います。選ぶ前に、まず仕組みを知っておきましょう。
録音から要約までの流れ
今回比べる3機種は、どれも同じ流れで動きます。
- 本体で会議を録音する
- スマートフォンのアプリに録音を送る
- メーカーのサーバー(クラウド)で文字起こしと要約をする
つまり、録音はいったん手元を離れて、メーカー側で処理されます。ここで気にしたいのが、次の「AI学習」です。
AI学習に使われるかという視点
「外部で処理される」ことと「AIの学習に使われる」ことは、別の話です。
AI学習とは、文字起こしの精度を上げるなどの目的で、利用者の音声やデータを仕組みの改良に使うことです。処理のために一時的に預けるだけなのか、改良の材料として使われるのか。この点が、製品によってはっきり分かれていました。
クラウドだから危ないわけではない
「クラウドに送られる」と聞くと、それだけで不安になるかもしれません。ですが、病院でもクラウド型の電子カルテは使われています。
違いは、誰が契約して管理しているかです。電子カルテは病院が事業者と契約し、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(2026年6月に第7.0版へ改定)に沿って運用されます。一方、個人で買ったAIボイスレコーダーは、病院の管理の外にあります。この違いは、あとの章で詳しくお話しします。
AIボイスレコーダー3機種の比較表

まずは3機種を一覧で比べてみます。形や価格はもちろん、この記事で重視する「データの保存場所」と「AI学習の扱い」も並べました。
無料で使える文字起こしの時間や、話者を区別できるかどうかは、3機種ともほぼ同じでした。差が出たのは、形とAI学習の扱いです。表のあとで、1機種ずつ特徴をご紹介します。
| 項目 | Plaud Note | Notta Memo Type-C | ZENCHORD 1 |
|---|---|---|---|
| 形 | カード型 | カード型 (約28g・厚さ3.5mm) | イヤホン型 |
| 本体価格の目安 | 27,500円 | 25,500円 | 26,980円 (公式ストア) |
| 無料の文字起こし | 月300分 | 月600分 | 月300分 |
| 話者の区別 | あり | あり | あり |
| データの保存場所 | 東京 | 東京 | 日本国内 |
| AI学習 | 使われない | 個人向けプランは 使われる場合あり | Nottaと同じ扱い と考えられる |
| 公式サイト | 公式 | 公式 | 公式 |
Plaud Noteの特徴
カード型のAIボイスレコーダーです。収音範囲は最大3mで、文字起こしでは話者ごとにラベルを付けて整理してくれます。
安全面での特徴は、公式サイトのよくある質問で「録音や文字起こしのデータはAIの学習に利用されますか?」という問いに、「いいえ、利用されません」と明記していることです。日本の利用者のデータは東京のデータセンターで保存され、通信時も保存時も暗号化されています。録音はアプリから完全に削除できるとも案内されています。
最新の価格や仕様は、販売ページで確認できます。Plaud Noteの詳細を見る
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なお、広い会議室で遠くの席の声まで拾いたい場合は、上位機種の「Plaud Note Pro」(30,800円)もあります。4つのマイクを備え、収音範囲は最大5mです。私がICレコーダーで困った「遠くの席の小さな声」が気になる方は、比べてみる価値があります。Plaud Note Proの詳細を見る![]()
Notta Memo Type-Cの特徴
重さ約28g、厚さ3.5mmの薄いカード型です。マイクを5基備え、話者の区別にも対応しています。連続録音は最大5時間で、データは東京のデータセンターに保管されます。
無料で使える文字起こしが月600分と、3機種のなかで唯一2倍の枠があるのも特徴です。1時間の会議なら月に9〜10回分にあたります。
「Type-C」という名前のとおり、USBケーブルでパソコンとつないでデータを送れるのもこの機種の特徴です。Bluetooth、Wi-Fi、USB Type-Cの3通りで同期でき、公式ページによると、USB接続時の転送速度は最大800kb/s(ワイヤレスの最大10倍)とされています。長い会議の録音を早く取り込みたいときに効いてくる部分です。なお、ワイヤレス充電ケースには対応していません。
最新の価格や仕様は、販売ページで確認できます。Notta Memo Type-Cの詳細を見る![]()
なお公式ストアの製品ページには、初回購入者限定の15%OFFクーポン「NOTTAAI」が掲載されています(2026年9月時点)。利用には会員登録が必要です。コードは製品ページに書かれているので、購入前に最新の条件とあわせてご確認ください。
AI学習については、公式ヘルプで仕組みが説明されています。個人向けプランでは、国内の協力会社が文字起こしの精度を上げるために、音声の一部をランダムに抜き出して学習に使う場合があります。ただし「単語が組み合わさって生まれる意味のある情報は学習されない」とされています。学習に使わない設定は、法人向けの「ビジネス Plus」と「エンタープライズ」で選べます。
ZENCHORD 1の特徴
ふだんはイヤホンとして使え、会議の録音もできる製品です。対面の会議では、充電ケースを机に置いて録音できます。1回の録音は最大5時間、話者の識別にも対応しています。
文字起こしにはNottaの仕組みを使い、購入者はNottaの無料プラン(月300分)を使えます。データは日本国内で暗号化して保管されます。AI学習の扱いはZENCHORD側の公式ページには書かれていませんが、Nottaの仕組みを使う以上、Nottaと同じ扱いと考えるのが自然です。なお本体はZenchord社が設計・製造し、日本の正規販売元は株式会社Acalieです。
最新の価格や仕様は、販売ページで確認できます。ZENCHORD 1の詳細を見る![]()
安全性で選ぶときの判断基準

私がAIボイスレコーダーに一番求めるのは、変換の正しさと、完成までのスピード、そして文字起こしから要約までの手軽さです。ここは3機種とも力を入れているところでしょう。
そのうえで、職場の会議を録音する以上、安全面も外せません。選ぶときに確認したいのは次の3つです。どれも公式サイトで調べられる内容なので、購入前にご自身でも見ておくと安心です。
AI学習の扱いの確認
自分の会議の音声が、仕組みの改良に使われることを避けたいかどうか。まずここを決めておくと選びやすくなります。
- 学習に使われないことを重視する → 公式に「利用しない」と明記しているPlaud Note
- 意味のある情報は学習しないという説明で納得できる → Notta Memo Type-CやZENCHORD 1も選択肢
どちらが正しいという話ではありません。違いを知ったうえで、自分で選べることが大切です。
保存場所と運営会社の確認
「どこの国の会社なのか」を気にする方も多いようです。公式情報では次のとおりでした。
- Plaud Note:米国に本社があり、日本法人もある。日本のデータは東京で保存
- Notta Memo Type-C:Notta株式会社が運営。データは東京で保存
- ZENCHORD 1:本体はZenchord社、文字起こしはNotta。データは日本国内で保管
会社の国籍だけで判断するより、データがどこに置かれ、どう扱われるかを確認するほうが確実です。
無料で使える範囲と月額料金
本体を買えば、Plaud NoteとZENCHORD 1は月300分(5時間)、Notta Memo Type-Cは月600分(10時間)までの文字起こしが無料で使えます。1時間の会議なら、前者は月4〜5回分、後者は月9〜10回分です。
それを超える場合は有料プランになります。Plaudは年間プロプランが16,800円、Notta系はプレミアムプランが月1,185円(年額14,220円)です。本体価格とは別にかかるので、会議の回数とあわせて考えてください。
事務職の会議で使うときの注意

医療現場は、もともと個人情報に神経を使う職場です。そのため事務職の方の会議では、患者さんの情報が出てくる場面はあまり多くありません。
AIボイスレコーダーを使いやすい会議は、思っているより多いはずです。ただし、事務職の会議だからこそ出やすい情報もあります。「どの会議なら使えるか」を先に考えておくのが、安心して使うコツです。
使いやすい会議の例
- 備品や予算の打ち合わせ
- 院内行事の準備会議
- 院内研修の記録
- 外部セミナーの聴講メモ
こうした会議なら、録音から議事録までを任せる効果を実感しやすいでしょう。
職員の情報や施設の内情が出る会議
患者さんの情報は出にくい一方で、事務職の会議では職員の人事や勤務、評価の話が出ることがあります。人員体制の課題や部署間の調整といった、施設の内情に関わる話も同じです。
これは、私がChatGPTに「入力しない」と決めている情報とも重なります。詳しくはChatGPT議事録の情報漏洩を防ぐ5つの手順で書きました。こうした話題の会議では、録音するかどうかを先に考えておくと安心です。
録音前に参加者へひと声かける
Plaudの公式サイトにも「録音を始める前に、参加者に録音する旨を伝え、同意を得てください」と書かれています。
「議事録のために録音させてください」と一言添えるだけで十分です。会議の参加者にとっても、録音されていると分かっているほうが気持ちよく話せます。
個人か職場かで変わる選び方

AIボイスレコーダーは、自分で買って使う方法と、職場として導入する方法があります。どちらかによって、考えるべきことが変わります。
また、クラウドに録音を送らない方法を選びたい方もいるはずです。3つの場合に分けて整理しました。ご自身がどれに当てはまるかを考えながら読んでみてください。
個人で使う場合
個人で使うなら、個人情報が出ない会議に絞るのが基本です。AI学習を避けたいか、形の好み、無料の範囲で足りるかを比べて選んでください。
私が理想とする議事録づくりは、次の流れです。
- 録音する
- 自動で文字起こし・要約する
- 職場の議事録の形式に合わせる
- 最後に内容を自分で確認する
ゴールは、8割以上正確で、簡潔で読みやすい議事録です。議事録をじっくり読む時間がない人にも伝わることが大切だと思っています。機械が作るのはあくまで下書きなので、最後の確認は省かないでください。全体の流れは【安全に時短】ChatGPT議事録のやり方|5ステップで完成にまとめています。
職場として導入する場合
病院として導入するなら、医療機関向けの法人プランという選択肢があります。
たとえばNottaには「医療関係者向け特別プラン」があり、追加費用でAI学習に使わない設定を選べるほか、操作の記録や権限管理などの機能が用意されています。用途として院内会議や研修の記録も挙げられています。導入を考えるときは、情報システムの担当部署に相談してみてください。
クラウドに送らない選択肢
録音を外部に送りたくない場合は、普通のICレコーダーという選択肢もあります。録音は本体の中に残るだけです。
ただし、冒頭でお話ししたように、聞き直しの手間や小さな声の拾いにくさ、電池切れといった弱点はそのまま残ります。文字起こしをするなら、職場で認められた方法を使ってください。
よくある質問

無料でどこまで使えるのか
Plaud NoteとZENCHORD 1は月300分(5時間)、Notta Memo Type-Cは月600分(10時間)までが無料です。1時間の会議なら、月4〜5回分と月9〜10回分の違いになります。それ以上使う場合は有料プランが必要です。
録音データは削除できるのか
Plaudはアプリから録音を完全に削除できると案内しています。Nottaは、退会するとすべてのデータを削除するとしています。使い終わった録音をどう扱うかも、購入前に確認しておくと安心です。
運営会社はどこの国なのか
Plaudは米国に本社があり日本法人もあります。Notta Memo Type-CはNotta株式会社の製品で、ZENCHORD 1は本体をZenchord社が作り、文字起こしにNottaを使います。3機種とも、日本の利用者のデータは国内で保存されています。
スマホの録音アプリとの違い
スマホで録音してChatGPTに渡す方法でも、文字起こしはできます。私が試した結果は【できました】ChatGPT議事録の文字起こし|実際に試した手順にまとめました。専用機は、録音から要約までが一続きになっていて手間が少ないのが違いです。
患者さんの情報が出る会議で使えるのか
個人で購入して使う場合は、まず職場のルールを確認してください。病院が事業者と契約して導入する法人プランであれば、扱いは変わります。判断に迷ったら、情報システムの担当部署に相談するのが確実です。
まとめ
AIボイスレコーダーを安全に選ぶためのポイントを振り返ります。
- クラウドかどうかより、誰が管理しているか
- AI学習の扱いは製品によって違う
- 無料の文字起こしは月300分、Notta Memo Type-Cだけ月600分
- 職員の情報や施設の内情が出る会議は慎重に
- 録音の前に参加者へひと声
便利な道具ほど、仕組みを知ってから使うと安心です。違いを知ったうえで選べば、議事録づくりの心強い味方になります。
今回ご紹介した3機種の公式サイトはこちらです。価格や条件は変わることがあるので、購入前に最新の情報をご確認ください。
まずは、ご自身がよく出る会議を思い浮かべてみてください。個人情報が出ない会議が多いなら、AIボイスレコーダーを試す価値は十分にあるはずです。


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